VOL. 11 酵素・1秒で世界を変える力 —— 酵素が導く代謝と修復の科学
2026.07.10
22. 加熱・加工と酵素欠損の影響
自然環境で暮らしている野生動物の間では、明確な病理学的障害が記録された例はきわめて少ないことが知られています[91]。
これに対し、飼育下にある野生動物では、多種多様な病気の発生が頻繁に確認されており、特に過去には飼料の内容に関する配慮が不十分だったことが、疾病の主要な原因とされてきました [92]。
その後、動物園で飼育される動物に対して、生の酵素を含んだ餌を与えるようになってからは、明らかに死亡率の低下が報告されるようになりました。
とくにライオン、トラ、カモシカなどの希少動物においては、病気の発症率が減少し、繁殖率や寿命の向上も確認されています[93]。
このような変化は、食物酵素の摂取が健康維持と寿命延長に大きく貢献している可能性を示唆しています。

23. 臓器変化と慢性進行性病態
飼育下のウサギ数百匹を対象に行われた研究では、17種類に及ぶ臓器の重量を測定した結果、ほとんどの臓器で顕著な変化が認められました。
これらの変化は、臓器の構造的・機能的異常を示すものであり、慢性病理の進行を反映していると考えられています [94]。
たとえ病気の進行が軽度であっても、その影響はしばしば本来は直接関与しない他の臓器にまで波及し、影響の広がりは病状の進展と強く関連しています。
こうした現象は、全身性代謝の連動性と、酵素による恒常性維持機構の重要性を改めて示すものといえます。

24. 食物の完全性と長期健康の維持
人間の一般的な食事、あるいはそこにビタミンやミネラルを添加した人工飼料を用いてネズミを一生飼育した場合、短期的には健康に見えても、長期にわたって飼育を続けると多様な疾病が発現してきます[95]。
この事実は、たとえ栄養素を人工的に補ったとしても、本来の自然な食品に含まれる微量成分や酵素などの〝完全性〞を欠いた食事では、最適な健康と長寿は得られないことを示唆しています。
加熱調理された食品にビタミン類を添加して与えた場合と、非加熱の生食を与えた場合では、動物の健康状態や生理的応答、寿命に明確な差異が生じます。
こうした違いは、加熱によって変性しやすい成分 ―― とりわけ酵素の有無によるものと考えられます [96]。
25. 酵素の消費と自然の法則
従来の生化学では、「酵素は消費されることなく、触媒として存在するだけで反応を促進する」とする見解が一般的でした。
しかし、酵素が基質に化学変化をもたらす際には、酵素自体も何らかのエネルギー変化を受け、最終的には失活・分解される運命にあるという報告も増えています[97]。
この点において、酵素が不変であるとする説は、生命現象におけるエネルギー代謝の原則 ―― すなわち「すべての作用には代償がある」という自然法則とは整合しないように思われます。

26. 加工食品という酵素欠損食
現代の食生活では、過度に加熱・加工された食品、いわゆる「加工食品(processed food)」や「超加工食品(ultra-processedfood)」の摂取が日常化しています。
これらの食品は、保存性や味の向上には優れていますが、調理・加工の過程で食物酵素がほぼ完全に失われています。
酵素の視点から見れば、こうした食品は生命維持に必要な代謝因子を欠いた〝機能的欠損食品〞といっても過言ではありません [98]。

References
91. Sapolsky, R. M. Why Zebras Don’t Get Ulcers. Henry Holt and Company, 1994.
92. National Research Council (US). Nutrient Requirements of Nonhuman Primates. 2nd ed., National Academies Press, 2003.
93. Howell, E. Enzyme Nutrition: The Food Enzyme Concept. Avery Publishing Group, 1985.
94. Jackson, C. M. “A Statistical Study of the Anatomical Variability of the Domestic Rabbit.” Journal of Morphology, vol. 43, no. 1, 1927, pp. 131–160.
95. Pottenger, F. M. Symptoms of Visceral Degeneration Following Incomplete Nutrition over Generations. Pottenger’s Cats Studies, 1946.
96. Lee, R. W. “The Importance of Enzymes in Raw vs. Cooked Foods.” Journal of Applied Nutrition, vol. 20, no. 3, 1968, pp. 183–189.
97. Levine, R. L., et al. “Determination of Carbonyl Content in Oxidatively Modified Proteins.” Methods in Enzymology, vol. 233, 1994, pp. 346–357.
98. Monteiro, C. A., et al. “Ultra-Processed Products Are Becoming Dominant in the Global Food System.” Obesity Reviews, vol. 14 Suppl 2, 2013, pp. 21–28. https://doi.org/10.1111/obr.12107

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