5. 胆嚢と栄養の関係:胆石形成と食生活の関連性
2026.03.06
はじまりの朝に。
「PERENNIALS™」が咲き誇る、幽玄なる仙境の庭。
読者の皆様、こんにちは。
PERENNIALS™の執筆を担当しています、琪花瑤草(きかようそう―Nom de plume)です。
これまで「揺るぎない人生」として歩んできたこの場所は、今日から「PERENNIALS™(ペレニアルズ)」という新しい名前とともに、新章がスタートします。
「ペレニアルズ」とは、園芸用語で「多年草」を意味します。
厳しい冬を越え、毎年決まった季節に自らの力で芽を吹き、鮮やかな花を咲かせる ―― 一度きりの流行で終わる「一年草」ではなく、時代に左右されず、自らの根を深く張り、何度でも花開く生き方。
私たちが目指すのは、そんな「自律した、持続可能な美しい人生」です。
旧ブログで大切にしてきた「揺るぎない土台」はそのままに、これからはより具体的に、あなたの「夢見る人生を実現させる」ための知恵とインスピレーションを届けていきます。
新しくなったこの庭で、また一緒に美しい花を咲かせていきましょう。
投稿記事は、これまでの流れを引き継いでいきます。
では、さっそく始めましょう!

⑴ 胆石と食の欧米化
胆嚢における主な疾患は胆石症であり、その大部分はコレステロールを主成分とする結石です。
地域差はありますが、胆石中に占めるコレステロールの割合は、イギリスで約60%、アメリカでは約74%、スウェーデンでは88%に達すると報告されています[1]。
一方、カルシウム化合物が胆石に占める割合は比較的少なく、主因ではありません。
胆石の形成は、まず胆汁中にコレステロールが過飽和状態となり、そこから微細なコレステロール結晶が析出・成長する過程で始まります。
こうして形成された胆石は、食生活の欧米化が進んだ国々で急増しており、第二次世界大戦後にはまるで流行病のような勢いで拡大しました[2]。

Gallstones,multiple cholesterol stone in gallbladder with cholecystitis. Gallbladder disease, stone formation. Cholecystectomy vs Laparoscopic Gallbladder Surgery for gallstones removal.
⑵ 胆石の歴史的背景と地域差
数百年前には胆石は非常に稀な疾患とされており、工業化以前の社会ではほとんど見られませんでした。
しかし、現代においては貧困層や若年層にもみられるようになり、とくに先進国では有病率の増加が目立ちます。
一方、発展途上国では今なお胆石の罹患率は低く、たとえば1923年から1955年にかけてガーナで行われた4395例の病理解剖では、胆石の症例は1例も確認されませんでした[3]。
発展途上国における胆石の発症例は主に富裕層に限られており、その背景には「西洋化された食生活」の影響があると考えられます。
たとえば、かつて胆石とは無縁だったカナダの先住民族イヌイットも、近年では胆石摘出手術が最も多く行われる手術のひとつとなっています[4]。
アメリカは世界で最も不健康な「フードシステム(ファストフードなど)」を輸出している国ですが、これも便利さの代償に健康を売り渡した結果であり、「食における経済のグローバル化」の成れの果てかもしれません。

Woman with bloating and stomach pain after fast food meal
⑶ 胆石形成にかかわる栄養学的要因
胆石の形成には複数の要因が関与していますが、主に以下の2点が重要とされています。
① 胆汁分泌の減少
動物実験では、精製糖質の摂取量が多い食事は、胆汁酸塩の合成量を減少させることが示されています[5]。
胆汁酸が不足すると、コレステロールが溶けきれずに結晶化しやすくなります。

② コレステロール生成の増加
コレステロールの過剰産生は、精製された糖質、特にスクロース(蔗糖)の過剰摂取、および食物繊維の欠乏に起因することが明らかになっています[6]。
逆に、食物繊維の摂取量を増やすことによって血中および胆汁中のコレステロール濃度を下げることが可能です。
さらに、近年の研究では、腸内細菌叢の構成も胆汁酸代謝および胆石形成に関与している可能性が示唆されています[7]。

⑶ 胆石は糖質代謝異常の一部
胆石症は単なる局所的な消化器疾患ではなく、糖質代謝異常やメタボリックシンドロームの一環として理解することができます。
とくに精製糖質に富み、食物繊維に乏しい「ジャンクフード中心の食生活」が胆石形成の根本的な背景にあると考えられます[8]。
すでに胆石が形成されている場合は、症状に応じて手術による胆嚢摘出(gallbladder removal)や、ウルソデオキシコール酸などによる薬物的溶解療法が検討されることがあります。
しかし、胆石の予防や再発防止には、精製糖質を控え、食物繊維を多く含む未加工の食品を中心とした自然な食生活を継続することが最も重要です[9]。

gallbladder removal
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References
- Portincasa P, Di Ciaula A, Wang DQ. Cholesterol gallstone disease: A tale of defective genes and imbalanced lifestyle. Eur J Clin Invest. 2006;36(6):393–400.
- Admirand WH, Small DM. The physicochemical basis of cholesterol gallstone formation in man. J Clin Invest. 1968;47(5):1043–1052.
- Walker ARP, Arvidsson UB. Absence of gallstones in autopsy series in Africans. Br Med J. 1958;1(5073):1396–1399.
- Gee MI, Grace DM, Whelan DT, Sherbaniuk RW. Gallstones in Canadian Inuit: prevalence, incidence, and dietary risk factors. Can Med Assoc J. 1974;110(6):643–647.
- Kritchevsky D. Dietary fiber and lipid metabolism. Am J Clin Nutr. 1978;31(10 Suppl):S65–S74.
- McGill HC, et al. Effects of dietary sugar on cholesterol metabolism. Am J Clin Nutr. 1969;22(9):1167–1171.
- Ridlon JM, Kang DJ, Hylemon PB. Bile salt biotransformations by human intestinal bacteria. J Lipid Res. 2006;47(2):241–259.
- Grundy SM. Metabolic syndrome update. Trends Cardiovasc Med. 2016;26(4):364–373.
- Tsai CJ, Leitzmann MF, Willett WC, Giovannucci EL. Dietary fiber and risk of gallbladder disease in a cohort of US men. Am J Epidemiol. 2004;160(2):157–167.